目的:本研究課題では、食事制限、食事組成の相違および運動療法が、ラットの寿命、および骨格筋、肝、脂肪の各細胞のインスリンシグナル蛋白量、活性化におよぼす影響を検討することを目的としている。本年度の研究では、低強度・長時間の運動(水泳)トレーニングと摂取糖質量の相違がラット骨格筋のインスリン作用に及ぼす影響について検討を加えた。 方法:Wistar系雄性ラットを正常食・水泳トレーニング群、低糖質食・水泳トレーニング群、正常食・非トレーニング群、低糖質食・非トレーニング群の4群に分けた。トレーニングには、無負荷で45分間の休憩を挟み、1日6時間の水泳運動モデルを用いた。運動終了後、正常食、低糖質食、水は自由摂取させた。最終運動の翌朝に前肢骨格筋を摘出し、インスリン刺激によるグルコース取り込み、およびインスリンシグナル系のタンパク量を測定した。 結果:水泳トレーニング群では、非トレーニング群に比ベインスリンによるグルコース取り込みが増加し(p<0.05)、GLUT4のタンパク量も増加した(p<0.05)。また、低糖質食飼育やトレーニング群に骨格筋内グリコーゲン量の有意な減少を認めた。特に、低糖質食・水泳トレーニング群が極端に低下していた。 結語:低糖質食下での運動トレーニングは慢性的な骨格筋内のグリコーゲン不足を招くものの、骨格筋内GLUT4蛋白量を増大させ、インスリン刺激による骨格筋糖取り込みを亢進させうることが示唆された。
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