今年度は、本研究ではカロリー摂取制限と低強度運動が脂肪量およびインスリン感受性に及ぼす影響を検討した。F344/NS1c雄性ラット(7週齢)を、1)カロリー制限・運動負荷群(CE群)、2)カロリー制限・安静群(CS群)、3)自由摂食・運動負荷群(AE群)、4)自由摂食・安静群(AS群)の4群に分類し、5週間飼育した。カロリー制限群は、摂食・絶食を隔日(every other day feeding: EODF)で行わせた。運動負荷群はトレッドミル走を週5日行った(強度:15m/min、傾斜:6°、時間:60min)。5週間の飼育後、14時間絶食し、経口糖負荷試験(OGTT)を行った。また、ヒラメ筋を用いてWestern blot法による糖代謝関連シグナル分子の解析を行った。その結果、5週間の飼育後、体重増加量(CE群:29.2g、CS群:41.8g、AE群:81.7g、AS群:110.0g)および睾丸周囲脂肪量(CE群:1.96g、CS群:3.18g、AE群:2.99g、AS群:4.08g)は、カロリー制限、運動負荷により低下した。OGTTを60分において検討したところ、自由摂食群においては運動負荷群と安静群との間で有意差が認められた。糖代謝関連シグナル分子であるGLUT-4、Akt1、Akt2のタンパク量、Akt(Ser^<473>)のリン酸化量は4群間に有意な差が認められなかった。 以上より、自由摂食群に対しては、運動負荷が糖代謝改善に効果的に働くが、カロリー制限群に対しては運動負荷の効果が認められなかったことから、今回の低強度運動下においてはカロリー制限による糖代謝への影響が運動負荷による影響より強かったものと推察された。
|