研究課題/領域番号 |
19500569
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
日下部 辰三 国士舘大学, 体育学部, 教授 (80117663)
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研究分担者 |
松田 秀樹 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (80305458)
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キーワード | 高地トレーニング / 低酸素 / 高血圧 / 化学受容器 / 気道粘膜 / 神経ペプチド / カルシウム結合タンパク / 免疫組織化学 |
研究概要 |
昨年度検討した低酸素環境下(外因性環境変化)における気道系化学受容器の動態変化に加え、今年度は高血圧(内因性環境変化)に対する化学受容器の感受性変化について検討を加えた。動脈系化学受容器は低酸素暴露という外因性環境変化のみならず高血圧という内因性環境変化にも適応して形態変化を呈することから、一般化学受容器においても同様に、内因性および外因性環境変化に対する適応を検討する目的で、高血圧自然発症ラット(SHR)の舌味蕾におけるcalbindin D-28kの局在を免疫組織化学的に検討し、既に報告している低酸素環境下における適応変化と比較検討した。高血圧自然発症ラット(SHR)および対照群としてWistar系ラット(WKY)の有郭乳頭を摘出し、PAP法にて免疫染色した。一次抗体には、anti-calbindin D-28kを用いた。対照試験として吸収試験を行なった。既に報告されているように、calbindin D-28k免疫陽性反応は、上皮内の味蕾細胞および固有層に認められた。SHRの味蕾におけるcalbindin D-28k陽性細胞数はWKYに比べ多く、SHRの固有層におけるcalbindin D-28k陽性線維はWKYに比べ少なかった。低酸素環境下の結果と比較すると、味蕾細胞と固有層の両者で免疫活性が低下していたのに対し、高血圧環境下の味蕾では陽性細胞は増加し逆の結果を示した。SHRではNaClに対する感受性が低下しているという報告があるとともに、味蕾細胞におけるcalbindin D-28kは、特殊な味覚刺激に対する反応ではないかと推測されいる。これらの点を勘案すると、SHRの味蕾細胞におけるcalbindin D-28kの増加は、求心性線維を介した味覚感受性の低下により、末梢受容器レベルにおける体内の電解質の恒常性を維持する為の適応ではないかと推察される。
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