研究課題/領域番号 |
19500570
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
三上 俊夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60199966)
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研究分担者 |
太田 成男 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00125832)
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キーワード | 運動 / ストレス / 神経新生 / isulin-like growth factor 1 / 学習記憶能力 / 海馬 |
研究概要 |
「目的」平成19年度の科学研究費の研究において、精神的ストレスによる神経新生の低下が身体運動により回復する結果が得られたことを踏まえて、JB-1(IGF-1 receptor阻害剤)を充填したAlzet浸透圧ポンプを皮下に埋め込みJB-1をマウスに持続的に投与し、精神ストレスいよる神経新生の低下に及ぼす身体運動の回復効果とIGF-1との関係を検討した。 「方法」実験動物にはAlzet浸透圧ポンプを背部の皮下に埋め込んだ8週令の雄のC57/BL/6マウスを用い、これらを以下の4群に分けて6週間飼育した。(1)コントロール:身体拘束を負荷せず通常の飼育ケージで飼育した。(2)拘束:拘束用ゲージによる身体拘束を負荷し、6分割ケージで飼育した。(3)拘束+トレッドミル走:拘束用ゲージによる身体拘束とトレッドミル走(1時間、速度20m/分)を負荷し、6分割ケージで飼育した。(4)拘束+トレッドミル走+JB-1:(3)群と同様の処理を行った。(1)〜(3)群のマウスに埋め込む浸透圧ポンプには生理食塩水を充填し、(4)群のマウスにはIGF-1受容体の阻害剤であるJB-1を充填した。実験開始4週目にBrdU投与、5週目にMorris water maze test(MWMT)による学習記憶能力の測定、7週目に解剖を行った。 「結果・考察」ストレス負荷によりMWMTで測定したマウスの学習記憶能力はコントロールに対して有意に低下し、この低下はトレッドミル走を行わせることにより有意に改善した。しかし、JB-1投与によりトレッドミル走による回復効果は消失した。同時に、BrdU陽性細胞数もストレスにより低下し、運動により回復し、JB-1投与により回復が阻害された。この結果より、ストレスによる学習記憶能力と神経新生の低下に対する身体運動がもたらす回復効果には、IGF-1の作用が関与していることが証明された。
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