研究課題
これまでの研究により、筋肉細胞のエネルギー状態が低下した状況では、その後の運動や栄養摂取によって糖質の同化反応が大きくなることが明らかにされている。一般的に体内で各栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の同化反応と異化反応は同調することを考えると、筋肉細胞内のエネルギー状態が低下した状態での運動や摂食は、糖質だけでなくタンパク質の同化も増大させる可能性を示唆している。平成19年度に実施したラット用いた実験において、給餌後6時間もしくは24時間の時点でロイシンを経口投与したところ、骨格筋の4E-BP1のリン酸化は食後6時間に比べて24時間で約60%大きくなることを見いだした。そこで、本年度は、1)絶食時間の延長にともなってロイシン投与後の骨格筋の4E-BP1のリン酸化が増大することを確認すること、また、2)空腹時のレジスタンス運動+摂食によって骨格筋のタンパク合成が効率よく増大するか否かを検討するために必要な、「ラットのレジスタンス運動モデル」を構築することを目的に実験をおこなった。絶食時間とその後のロイシン投与が4E-BP1のリン酸化に及ぼす影響を検討した結果、腓腹筋および肝臓ともに4E-BP1のリン酸化は絶食時間の違いによる有意な差は認められなかった。この結果は先行研究とは異なり、現在、その理由を解明するため4E-BP1のリン酸化を制御しているmTORの活性を検討している。また、ラットにオペラントケージを用いてスクワットトレーニングを負荷した結果、骨格筋のタンパク質量及び横断面積は、安静群に比べてトレーニング群で高値を示す傾向が認められた。今回、全てのラットがスクワット運動を終了してからミールフィーディング法で餌を与えたため、ラットによっては運動直後に摂食することができず、効率よく骨格筋のタンパク合成を誘導することが出来なかった可能性が考えられる。この問題を解決することで、ラットを用いたスクワットトレーニングモデルを構築することができると思われる。
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中京女子大学研究紀要 42
ページ: 79-86