本研究は、不妊症女性のためのRECEDE-PROCEED Modelを基盤とした「生殖性:generativity」の実現(拡大)を目的とする新しい次世代養育教育プログラムの開発を目的とする。 第一段階のRECEDEは、不妊女性のQOLの向上の影響要因と関連要因を明らかにし、第二段階のPROCEEDは、次世代を育てるための「参加型健康教室:Generativity-Health Program」と講義型教室によるRCT介入研究を行い、生殖性:generativity実現とQOL向上の効果を検討する。 方法:第一段階研究(横断的仮説因子探索研究):不妊治療中の女性および既にこどもを養育している女性の2群間の「生殖性」と「生活習慣」意識、関連要因を、研究仮説に基づきMann-Whitney検定、重回帰分析法で分析した。調査対象者は、8施設から不妊群400名、経産婦群300名とし、調査期間はH20年6月〜10月であった。 第二段階研究(介入アプローチによるRCT縦断研究):第一段階結果によりGenerativity-Health Programを作成し、参加型教室参加群を対象群、講義型教室参加者をコントロール群として、H20年8月〜H21年8月を実施予定期間とし、登録予定数は各30名ずつとした。効果検討は、教室参加前、実施3ヶ月クロスオーバー後の2回目質問票での意識・行動変化評価、身体健康状態データ分析、カルテ情報から、二元配置分散分析、多変量解析分析をする。また、参加型教室プログラムでのグループダイナミックス過程は、帰納的質的分析を実施する。 倫理審査は、共に平成20年5月にA大学医学部および看護学部倫理委員会で承認された。 結果:不妊群の回収数:342回収率(85.6%)有効回収数:313、コントロール群の経産婦群は回収数:272(87%)、有効回答数:256であった。不妊治療中の女性群の平均年齢:35.99歳(SD4.6)、平均不妊月数は42.86月(SD33.1)であり、経産婦群の平均年齢:32.50歳(SD4.5)、平均妊娠週数は妊娠27.41週、妊娠までの平均月数は11.96月(SD14.8)であった。日常生活意識、生殖性の下位3因子「日常生活意識」「予防行動」「生殖性の意識」に関する2群間の平均値比較分析では、「生殖性の意識拡大」は不妊群が高く、有意差(p<0.05)があった。生殖性の意識に影響を与えている因子は、「女性の生き方」「予防行動」「夫婦関係のQOL」「性の教育」に関する意識が説明要因であった。不妊原因別、不妊治療段階別、不妊期間と治療中のQOLには有意差(P<0.05)はなかった。第2段階研究では、現在まで各3回ずつ計6回、各教室を実施し延べ20名の参加者を得た。
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