研究概要 |
平成20年度も、前年度に引きつづき茨城大学において定期検診を受けた大学生6977名(男4389名、女2588名、平均年齢21.4±1.2歳)のBMI、および体脂肪率を測定し、男女別・学年別に肥満およびやせの割合を調査し、それぞれの割合を比較検討した。体脂肪率が男子で30%以上、女子で35%以上の肥満の学生のうち、承諾の得られた57名(男25人、女32人)を対象に腹部超音波検査により脂肪肝の判定をおこない、青年期における脂肪肝の出現頻度を調べた。同時に食物摂取状況調査をおこない、栄養ソフトにより、エネルギー、脂質、食物繊維摂取量などを算定した。脂肪肝の診断は腹部超音波検査によりおこない、エコー減衰率、エコー輝度、肝静脈像の抽出度、肝腎コントラスト比の項目を0, 1, 2にスコア化し、合計点数が0 : 正常、1-3 : 軽度、4以上 : 中等度に分類した。肥満男子学生の36%が中等度の脂肪肝を呈した。一方、肥満女子学生は18.8%が中等度の脂肪肝を呈した。内臓脂肪の蓄積(腹囲が男性が85cm以上、女性が90cm以上)をメタボリック症候群予備群とすると、男子学生は全員が予備軍に該当し、そのうち9名が中等度の脂肪肝を呈した。次に、1年次から4年次まで毎年受診した学生において、1年次の身長と体重によってBMI肥満群・標準群・やせ群に分類して4年間を縦断的に解析した。男子学生と女子学生のBMI肥満群の収縮期血圧と拡張期血圧はともに、標準群及びやせ群に比較して統計学的に有意に高かった(P<0.05)。この成績については、Campus Healthに掲載した。平成20年度にはヨーロッパ消化器病学会(平成20年10月、ウィーン)に参加し、欧州における非アルコール性肝炎の研究動向について情報収集をおこなった。
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