研究概要 |
内臓脂肪蓄積に基づき動脈硬化をきたす因子としてアディポサイトカイン、および食後高脂血症の指標であるアポB48を測定し、頸動脈における動脈硬化形成への関与を一般健康診断対象者で評価した。 1、横断的研究。まず血中炎症性マーカーと内臓脂肪蓄積の指標として腹囲との関係を評価。メタボリックシンドローム危険因子集積に伴い、血中炎症性マーカーは変化することが従来示唆されていたが、それは腹囲の大きい者の場合に限り顕著な現象であることを見いだし論文に公表した。さらに、近年我々が開発した簡易内臓脂肪面積計測装置を健診に導入、のべ約6300名に施行し、動脈硬化危険因子に対し腹囲よりより強く相関することを見いだしている。 また、アポB48を100余名で測定、頸動脈エコーで評価した動脈硬化の程度(IMT)を予測する因子として、HDLとアポB48、アディポネクチンと血糖の組み合わせが有用である傾向があった。アポB48値に関連する生活習慣としては喫煙と睡眠時間であった。しかしまだ有意ではないため、測定を増やしていく予定である。 2,経時的研究。平均15ケ月観察した健診レベルの初期動脈硬化の進展(男性540名、女性300名)を予測する因子を男女別に明らかにした。さらに動脈硬化危険因子の変化より腹囲の変化が初期動脈硬化の進展に重要である可能性を示した。また男性1800名の平均20ケ月観察で、腹囲の増減がメタボリックシンドローム危険因子の変化に重要であることを明らかにした。これらの結果は、平成20年3月の日本循環器学会で3題発表予定である。 今後、これら結果から抽出された動脈硬化進展ハイリスク集団に保健指導を行い、これら有用な測定因子の変化を明らかにすることにより、将来的により効率的な動脈硬化性疾患抑制のための保健指導が確立されると考える。
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