研究概要 |
糖尿病の中で95%以上を占める2型糖尿病は,インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす素因を含む複数の遺伝因子に,肥満,過食(特に高脂肪食),運動不足,ストレス,加齢などの環境因子が加わり発症する。したがって,個人に対応した効果的な栄養指導を行うためには,環境因子である生活習慣への介入に加えて,遺伝因子である遺伝子多型を考慮する必要があると思われる。2型糖尿病のように発症頻度の高い疾患には遺伝子多型の中で最も多くみられる一塩基多型が複数関連していることが解明されてきた。一塩基多型は単独での影響力は小さいが,複数組み合わさることによって相乗的に作用することが報告されており,日本人2型糖尿病とその合併症に関連する多くの遺伝子が解析されつつある。すでに機能や発現機序が解明されている遺伝子多型の利用は,早期からの介入や介入方法の選択に役立つと考えられる。
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