研究課題
本年度はヘスペリジンを酵素処理し、水溶性を1万倍に高めた糖転移ヘスペリジン(αG)と未処理ヘスペリジン(H)による骨代謝調節作用への差異に関して、卵巣摘出骨粗鬆症モデルマウスを用いて検討した。次に、ヘスベリジンのアグリコンであるヘスペレチンによる破骨細胞分化抑制作用について破骨細胞培養キットを用いて検討した。動物実験の結果において、Hと同等のヘスペリジンを含有しているαGをHの混餌量の1/4に設定した餌を摂取させたところ、Hと同等の骨量減少抑制効果がみられた。さらに、脛骨中破骨細胞関連遺伝子のRANKLmRNA発現量はHよりもαGで抑制し、骨形成修飾遺伝子であるBMP-2mRNA発現量はαGで高値を示した。すなわち、Hより水溶性を高めたαGでの骨代謝調節作用の反応性が高いことが示唆され、Hよりも低い用量での骨粗鬆症予防効果がみられた。一方、骨粗鬆症は骨吸収と骨形成のバランスが破綻し、破骨細胞の骨吸収が活発になることが原因の一つとされているが、骨吸収抑制作用に関与するか調べるために、ヘスペレチンによる破骨細胞の分化への影響を検討した。その結果、ヘスペレチンは濃度依存的に破骨細胞への分化を抑制することを示したことからヘスペリジンの骨量減少抑制効果は破骨細胞の分化を抑制することで発現することが推測された。フラボノイドは配糖体の糖を腸内細菌により切断することでアグリコンとなるが、効率的にアグリコンとして生理作用を発揮させるために、ヘスペリジンの吸収機構についても検討する必要があると思われる。
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