研究概要 |
【目的・方法】COPD患者に対して実施している包括的呼吸リハビリテーションの有効性について、呼吸機能や運動耐容能などに加えて、今回は赤血球中の酸化ストレスマーカーを同時に測定し検討した。対象は、禁煙ができている安定期COPD患者で呼吸リハビリテーション・プログラムに参加した9名である。リハ前およびリハ後(10~12週後)に、BMI、MRC息切れスケール、St.George呼吸質問表(SGRQ)、呼吸機能検査、6分間歩行試験(6MWD)、シャトルウォーク試験(SWT)および赤血球酸化ストレスマーカーとして過酸化脂質(TBARS)、蛋白カルボニルおよび抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼ:SOD、グルタチオンペルオキシダーゼ:GPXおよびカタラーゼ:CAT)を測定・評価した。【結果・考察】SGRQは呼吸リハ前後で,Activity, Impact, Totalでそれぞれ4ポイント以上の有意な改善を示し、6MWDおよびSWTでも有意に歩行距離が伸び、運動耐容能の改善が示された。一方、呼吸機能検査では有意な変化は見られなかった。同時に測定した赤血球中のSOD活性と濃度,GPXの活性は呼吸リハ前後で有意な変化は認められなかったが,CAT活性は呼吸リハ後で有意に上昇した(p<0.05)。なお、TBARSや蛋白カルボニルにも有意な変化を認めなかった。これらの結果より、COPD患者において呼吸リハは,酸化ストレスを上昇させずに運動耐容能や健康関連QOLを改善させるとともに、抗酸化能力も改善する可能性が示唆された。
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