本研究は運動と食事指導による体重、体脂肪率、内臓脂肪の減少、血中アディポネクチンの増加、レプチンの減少など肥満関連因子の改善と運動トレーニングプログラムとの関係について検討することを目的とした。被験者はメタボリックシンドローム対象群および予備軍とし、中等度の有酸素運動トレーニング群と複合トレーニング群(有酸素運動+筋力づくり運動)、およびコントロール群とした。運動トレーニングの内容は、有酸素運動群:自転車運動を主体とし、負荷強度は最大酸素摂取量の50%強度にて行った。運動時間および運動頻度は、1回30分、週3回を12週間、合計36回とした。複合運動トレーニング群:ウォーミングアップ、エアロビクスダンス、ボールや体重を使った筋力づくり運動、ストレッチとする教室形式とした。運動時間および運動頻度は、1回30分、週3回を12週間の合計36回とした。トレーニング前後の検査として、1)血液検査(アディポネクチン、レプチンなどの肥満関連因子、遊離脂肪酸、中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール等の血中脂質、血糖、インスリン等)、2)歩数計による身体活動量の測定、3)体脂肪計による体脂肪率測定、4)運動トレーニング前後3日間の食事調査を行った。また、トレーニング前の食事調査結果に対し、管理栄養士による食事アドバイスの実施を行った。結果として、血中脂質プロフィールに大きな変化はみられず、体重の減少は個人差が大きかった。しかしながら、複合トレーニング参加者の一部は運動トレーニング終了後も継続習慣化がみられ、行動変容の改善に効果があったものと考えられた。
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