研究課題/領域番号 |
19500618
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 政登 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10110925)
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研究分担者 |
山内 秀樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60220224)
町田 修一 東海大学, 体育学部, 准教授 (40421226)
木村 真規 慶応義塾大学, 薬学部, 講師 (40383666)
柴崎 敏昭 慶応義塾大学, 薬学部, 教授 (60100921)
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キーワード | 小児肥満 / 運動介入 / メタボリックシンドローム危険因子 / 内臓脂肪量 / 血清レプチン |
研究概要 |
1.目的:わが国においては、成人のみならず小児肥満の増加が懸念される。ここ30年間で学齢期肥満傾向児は2倍増加している。本研究ではヒトの乳〜幼児期相当期(幼若齢期〜成長期)および学童〜思春期相当期(成長期〜成熟期)、一定期間運動を行わせヒト壮年期相当期(成熟期〜)まで体重、血圧および摂餌量推移を観察した。また、介入終了時の46週齢時に解剖し、体重、内臓脂肪量および血圧、糖・脂質代謝指標などメタボリックシンドローム危険因子の発症状況を調べた。2.方法:OLETFラット29匹を、(1)5〜20週齢までの15週間自発走運動を行わせ、その後安静を維持させた幼若齢〜成長期運動群、(2)20〜35週齢時のみ運動させ、それ以外安静を維持させた成長〜成熟期運動群、(3)5〜45週齢時までの全期間安静維持させた安静対照群の3群に分けた。尚、正常対象(LETOラット)安静群も設定した。7、20および45週齢時に、安静時血清レプチン濃度を測定し、さらに経口糖負荷試験(OGTT;2g/kgBW)を行った。46週齢時、麻酔下で全量採血により屠殺し、血清TG、LDL-C、HDL-C濃度を測定した。ラット屠殺後、速やかに皮下脂肪、腸間膜脂肪、副睾丸周囲脂肪および後腹膜脂肪摘出後、秤量した。3.結果と考察:幼若齢〜成長期運動群は体重低値の持続、内臓脂肪量の減少、OGTT2時間値、血清レプチンおよびTG濃度の低下が観察された。一方、成長〜成熟期運動群では一過性に体重が減少したが、其の後リバウンドした。摂餌量に差はなかったが、幼若齢〜成長期運動群の体重は運動終了後も安静対照群に比較し有意な低値が持続し、内臓脂肪量、血清レプチン濃度も低値であった。この結果は、幼若齢〜成長期の運動がエネルギー代謝を促進する可能性を示唆している。4.総括:乳幼児〜学童期の習慣的運動は、壮年期相当期に頻発する肥満・糖尿病およびメタボリックシンドローム危険因子の発症を予防する可能性が示された。
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