研究課題/領域番号 |
19500619
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡 浩一朗 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (00318817)
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研究分担者 |
中村 好男 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00198251)
柴田 愛 早稲田大学, 総合研究機構, 客員研究助手 (30454119)
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キーワード | 膝痛 / 痛み対処 / 運動器疾患 / QOL / 水中運動 / 高齢者 / 行動科学 / 通信教育 |
研究概要 |
本研究では、慢性疼痛、特に膝痛を抱えている中高齢者の痛み自己管理能力を高めるためのプログラムを開発するために、まず痛みや痛みに伴う活動制限に関連する要因を探索し、それらの相互関連性について検討することによって痛み自己管理モデルを構築することを目的とした。また、それらの成果を活かした行動科学に基づく膝痛改善プログラムの開発と評価を行うことを目指した。 地域在住の中高齢女性を対象に、痛みの程度や痛みに伴う活動制限に関連する要因として、痛み対処方略に注目し、それらの変数間の相互関連性について検討した。その結果、強い痛みを感じている人は、願望思考、破滅思考、医薬行動といった不適応的な痛み対処行動を頻繁に採用し、痛みによる活動制限が強められていた。以上のことから、不適応的な痛み対処方略を修正するための認知行動療法を、従来の運動療法を中心とした膝痛改善プログラムの中に積極的に取り入れていく必要性が示唆された。 そのため、膝痛を有する地域在住の中高齢女性を対象に、運動教室型プログラムと膝痛の自己管理を促す内容を含んだ印刷教材を利用した通信教育型プログラムを実施し、その効果の比較を行った。その結果、運動教室型プログラム、通信教育型プログラムともに、プログラム終了後には痛みの程度や痛みによる活動制限が改善し、望ましい痛み対処方略を採用する傾向が認められ、両プログラムの有効性が示された。 さらに、変形性膝関節症などの運動器疾患により慢性疼痛を抱えている高齢者を対象に、筋力強化と有酸素運動を組み合わせた水中運動プログラムを開発し、痛みの側面、身体的側面、心理的側面、行動的側面、運営システム面から総合的に検討することを試みた。3ヶ月間のプログラムにより、痛みの程度や痛みによる活動制限が改善することに加え、機能的移動能力や脚筋力、健康関連QOLの改善が認められることが分かった。
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