生活習慣病予防における根本的な対策は「食事」と「運動」の二つしかない。魚食を中心とした日本型食生活は世界一の長寿食とされ、魚油に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)の循環器疾患に対する予防効果はほぼ明らかである。また、ジョギングや速歩程度の有酸素運動(中強度)の有効性もほぼ明らかである。しかし、DHAと中強度運動の併用効果については知られていない。一方、運動は体内の活性酸素種を増加させることが知られているが、DHAの摂取も体内組織(肝臓や腎臓など)の過酸化脂質生成を亢進させることから、DHAと中強度運動の併用は生体内の過酸化脂質生成をより増幅し、生体に種々の傷害を与える可能性が考えられる。従って、その防御機構が存在すると推察される。中でも傷害性の高いアルデヒド類は代謝、無毒化(抱合体化)され尿中へ排出されると推察され、このような酸化ストレスの軽減あるいは消去(とくに解毒・排出)は、動脈硬化発症の予防、治療の面からも重要である。それにも関わらず、DHA由来酸化物の解毒・排出に関する知見は少なく、運動とDHA摂取との関係について酸化ストレスの面から研究した報告は見当たらない。そこで本研究は、一次予防医療に関わる看護教育研究を兼ね、看護科学生(准看護師)、教職員を対象に実施し、DHA摂取に伴う過酸化脂質の生成とその解毒・排出に及ぼす運動の影響について検討した。その結果、メタボリックシンドロームの指標に対する良好な改善効果が得られた。
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