タウリンと肥満の関連を明らかにするため、タウリン合成系酵素システインジオキシゲナーゼ(CDO)のcDNAを脂肪組織特異的なエンハンサー(aP2エンハンサー)に組み入れたコンストラクトを作成し、受精卵に挿入してCDOを過剰発現させたトランスジェニックマウスを作成することに成功した。ノーザンブロット解析の結果、本トランスジェニックマウス(Aライン)では、外因性CDO mRNAが白色脂肪組織で2-3倍過剰発現してしか。今後、このトランスジェニックマウスの生体内タウリンレベルが増加するか否かを検討し、In vivoで脂肪組織のタウリン合成を増加させた場合に肥満と関連するか否かを明らかにする予定である。 さらに、マウスで認められた肥満状態におけるタウリン欠乏状態がヒトにおいても認められるか否か検討した。新たにヒト肥満者35名の血清をもとにタウリンレベルを測定したところ、肥満の程度と血中タウリンレベルには相関関係は認められなかった。しかし、昨年度測定した9名と同様に、肥満治療前に比較して、治療後には血中タウリンレベルが高値を示す傾向が認められた。今後は、食事摂取状況や体脂肪の減少率などを検討し、なぜ肥満治療でタウリンが増加するのかを明らかにする。
|