研究概要 |
室内空気汚染の問題はホルムアルデヒドなどを含め深刻化してきたが、建築基準法の改正によって、建材から室内へのホルムアルデヒド放散は減少し、室内空気中のホルムアルデヒドの問題は鎮静化しつつある。しかし、フローリングなどから発生するVOC類がなかなか減衰しない例も見受けられる。そこで本研究では、平成20年度に以下の様な事を明らかにした (1)建材(合板(厚さ9mm,5mm)、MDF(12mm)、パーティクルボード(12mm,15mm)、ストランドボード(12mm))を透過・拡散するトルエン、キシレンの量を測定した。その結果、透過率の高い順に合板12mm、MDF12mm、合板9mm、ストランドボード12mm、パーティクルボード12mm、パーティクルボード15mmとなった。同じ種類の建材では、厚さが大きい方の透過率が低かった。ただ合板ではプライ数や接着層の数が異なるため、一概に比較することはできないと考えられる。また、密度の違いによる影響も見られた。拡散係数は10^<-6>m^2/hのオーダーとなり、他の気体の木材中の拡散係数と同じオーダーであった。 (2)室内VOC濃度低減策の一つとして、木質、非木質炭化物のVOC吸着能測定を行った。その結果、ケナフのホルムアルデヒド吸着能は、一般的に気体の吸着剤として用いられている活性炭よりも、ホルムアルデヒドに対する吸着能力が優れていることが明らかになった。またケナフ炭化物の水蒸気吸脱着能は、活性炭より優れており、さらに木炭よりも非常に優れていることが明らかになった。また、モウソウチク炭化物やスギ樹皮炭化物でも、優れた吸着性能が見られた。更に、酸素賦活による効果も見られ、表面積が増加した。
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