本研究の目的は、丹後半島の日常生活に今も残り実践されているマイナーサブシステンス(遊び仕事)に着目し、1) その生活文化的・生活技術的価値を探求していく地域・生活デザイン学や道具・民具学、2) その価値を保全していくための里山保全再生学・景観生態学、そして、3) その「遊び」を可能とする地域生活・地域空間全体が生きた博物館であるためのエコミュージアム学などの視角から学際的にアプローチし、マイナーサブシステンスが内包する自然共生的価値を見出すことにある。 加えて、今まさに途絶えようとしている伝統的生活文化としてのマイナーサブシステンスを、里山の保全活動や自然と交わり遊ぶ体験学習の推進、インターネット等のメディア発信を通して、地域活性化や臨地環境教育に広く結びつくかたちで、保全・継承・再構築していくことを目指すものである。 本研究では、海山川の自然の中で、大人たちが胸おどらせながら、身体を媒介として獲物などを捕獲する行為を、経済的には副次的な生業であり遊びの色彩が強く、伝統的で高度な技法(skill)を有し、その遊びが喜びと誇りの源泉になり得るマイナーサブシステンスであることを示し、その「遊び仕事」が、地域の自然や生活文化の豊かさを再認識し、地域の伝統的生活文化の継承・保全、並びに地域活性化につながるものと考え、遊び仕事の自然共生的価値について、以下のように捉えた。 1) 人間行動の本質である「遊び」を通して、自らが自然共生を学ぶ手立てとなり得る。2) 自然と人間が対等に向き合える「等身大」の共生の場を有している。3) 生活や自然の現場で、生活技術を学ぶことができる「臨地」自然共生教育である。4) 今日の情報化・バーチャルな社会環境において、自然共生のための「体験知」教育を学ぶことができる。5) 自然を学び、自然と遊ぶ、「豊かな自然共生型ライフスタイル」を創出・実現することができる。
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