今年度は、子育て支援における地域資源活用に着目した研究を行った。 1. 民間の地域子育て支援拠点「ひろば型」の運営問題に関する研究(昨年度より継続) 昨年度実施した全国の子育てひろば調査から、民間が運営委託する子育てひろばを取り上げ、運営体制と課題を詳細に分析した。運営団体は学校法人、社会福祉法人からボランティアグループまで、常設施設は子育て支援センターから民家、空き店舗まで多様であるが、運営団体が組織的団体か(社会福祉協議会など)、或いはコミュニティベースの団体かによって(NPOなど)子育てひろばが抱える問題は異なり、団体の特徴が反映される結果となった。本研究では特に子育てひろばの立ち上げ期〜初期段階の問題を分析し、団体のタイプ別に課題を提示した。また、研究成果はこども未来財団主催のひろば立ち上げセミナーにて報告し、実践の場に活かす方策を示した。 2. カナダ・オンタリオ州「ベストスタートプログラム」における民間活用調査 昨年度の調査で概要を把握したオンタリオ州ベストスタートプログラムについて、今年度はモデル地区であるハミルトン市に入り、民間団体によるプログラムの実践を調査した。具体的には、コミュニティ団体が運営するセンターにおいて、いかにベストスタートプログラムを実践しているか-州のモデルとなった経緯、運営体制、空間的特徴、ネットワークなどを聞き取った。また、トロント市のコミュニティ団体に対し、センターの運営、地域のニーズを汲み取ったプログラムの開発、実施方法について聞き取り調査を行った。以上の調査から、(1)コミュニティベースの団体がいかに子育て支援事業を発展させ、地域のリソースをネットワークしてきたのか、(2)ベストスタートプログラムの効果、課題、今後の方向性の2点を把握し、日本の地域育て支援のあり方に示唆を得た。
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