「前回調査の概要」 本研究はこれまで乳幼児の地域子育て支援に関する調査を進め、前回のスウェーデン調査では(2006年)、乳幼児のいる親をつなぐオープンプレスールの役割と実践を把握した。オープンプレススクールは子どもの集団遊びや親の交流だけでなく、親が抱える問題をテーマ別にプログラムに組み、少人数のワークショップや講座をとおして親業を学ぶ機会を設けている。親子の徒歩圏に整備され、問題を未然に防ぐ効果があることも教育庁の調査で検証されている。 「調査目的」 高福祉国家のスウェーデンにおいて、学童期の子どもへの支援がどのように位置づけられ、地域との関わりの中でいかに実践されているのかを把握するため、学童保育の現状を調査した。 「調査方法」 スウェーデンの学童期の子どもの保育についてはほとんど報告がないため、調査は放課後の子どもの生活と余暇ホーム(学童保育)の概要把握に限定した。ストックホルム、ハーニンゲン、フッディング、ウプサラのコミューンの担当者に聞き取り調査を行い、事例を訪問した。 「結果」 スウェーデンは、就労保障と子どもの権利条約に基づいた子どもの発達保障が国の制度として位置づけられ、国はコミューンを、コミューンは学校を調査し、国の方針に近づいた学童保育の運堂を働きかけている。女性の就労率の高いスウェーデンでは、低学年のほとんど全員学校終了後、同じ教室で余暇ホームに移行し、余暇教育士が指導にあたる。余暇ホームはあくまでも学校の補完的役割であり、地域との連携や親同士のつながりはほとんどみられない。10代の高学年になると公開余暇センターになり、プログラムや室内空間は大人になる準備と位置づけられる。夜間も利用でき、低学年と高学年では全く異なる居場所が設けられている。しかし、学童保育は未だ試行錯誤されて、国はよりよい方向を模索しながら制度をどんどん変革している。
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