日常靴の履き心地感覚は、定性的な個人の感覚センサに頼られているが、靴による足への拘束力を定量化できれば靴選びの指標ができ、靴による足へのトラブルは軽減されると考えられる。そこで平成19年度に購入したELFシステムセンサ(ニッタ(株))のキャリブレーションを行い、歩行時に生じる靴の足への拘束力をリアルタイムに計測できるかを試行した。 荷重に対するセンサの応答:前足部の曲率を考慮し、40mm、30mm、20mm、15mmの円筒を用いて、200g〜3000gを荷重(W)し、センサの表示荷重(W')との校正を行ったところ、(W)と(W')の関係は相関係数0.92以上で直線性が得られ、センサ表示は有効であると認められた。 歩行時の靴による足への荷重:被験者1名について歩行実験を行ったところ、出力された値は0〜5300gで、最大値を表示した部位は被験者が歩行時に違和感を感じている部位と一致した。さらに最小値が0を表示したことは、歩行時に足先離地した際に荷重が0になったことを示しており、歩行時のキャリブレーションは正常に機能していることが明らかにされた。 拘束力の測定:本センサで足の曲率に合わせてキャリブレーションパターンをファイルし計測を行い、靴と足の接触面積を求めることができれば、単位面積あたりの拘束力を求めることができる。また、歩行時の荷重は統計処理をするには安定しがたいため、荷重分布を求めることで、履き心地の指標とすることもでき、歩行時の靴による足への荷重をリアルタイムに計測することを可能にした。
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