私たちが日常履いている靴の選択はデザインが優先され、靴の履き心地の評価指標は、個人の靴履歴による感覚センサに左右されている。そこで快適な靴生活のために定量的評価として、靴による足への「拘束力」と「靴ズレ」の2要因に着目し、両者を「荷重」と「滑り摩擦量」としての計測し、その計測方法を確立した。そして歩行実験の結果、履き心地を荷重と靴ズレ量と足部位おいて評価できることを明らかにした。 相対荷重と靴ズレ量の測定方法;ELFシステムセンサ(ニッタ(株))のキャリブレーションを行い、歩行時に生じる靴による足への荷重をリアルタイムに計測できることを確認し、そこで足部側面部位について荷重計測を行った結果、相対荷重分布で表すことができた。さらに同計測部位の靴ズレ量を計測した。荷重-摩擦量はr^2=0.96以上で相関が認められた。 歩行実験・履き心地の定量化:被験者成人女子12名について、感覚尺度4段階で3または4の履き心地の良い靴と悪い靴を対にして、歩行実験を行った。結果、履き心地の良し悪しは、荷重によって判別されるが、靴ズレ量に関しては、履き心地の良い靴でも、4計測部位ともに、600歩行で靴内滑り摩擦量が100cm以上の飽和を示し、靴内の足の滑り量だけでは履き心地の評価にはならないことが明らかにされた。 計測値の精度・安定:歩行のような動作をともなう荷重データは、精度・安定を考慮すると、荷重分布で表し、被験者のフェースデータとを多変量分析すること、靴ズレ量については、摩擦係数と荷重との関係だけではなく、皮膚のせん断変形を検討必要があることがわかった。
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