研究課題/領域番号 |
19500645
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研究機関 | 東大阪大学短期大学部 |
研究代表者 |
村田 順子 東大阪大学短期大学部, 健康福祉学科, 准教授 (90331735)
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研究分担者 |
田中 智子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (20197453)
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キーワード | 高齢者 / 居住継続 / 介護予防 / 地域生活 / 生活支援 / 介護保険制度 / 安心感 / 高齢者主体 |
研究概要 |
高齢者が出来る限り長く在宅生活を過ごせるよう、在宅生活支援のあり方について明らかにすることを目的に、(1)大阪府の独自事業である「街かどデイハウス(以下、「街デイ」)」の現状についてのアンケート調査、および「街デイ」14ヶ所に対する訪問調査、(2)閉鎖した「街デイ」の元利用者の生活変化に関するヒアリング調査、(3)地域全体で高齢者の在宅生活支援を実施している自治体(K市)に対するヒアリング調査および、地域密着型施設4ヶ所への訪問調査、(4)地域との関係づくりに取り組んでいる各地の地域密着型施設5ヶ所への訪問調査を実施した。以下に結果を述べる。 1)「街デイ」は、地域の有志により、各地域の実情に沿った柔軟できめ細かい対応で地域の高齢者の生活を支え、地域の安心処としての役割を担ってきた。2009年度より府の補助金制度が変更となり、より介護予防に力点をおいた活動が求められるようになるが、専門知識を持たない多くの運営者は実施に対し不安感が大きい。また、資金難やスタッフ確保が困難など運営基盤が脆弱な「街デイ」もあるが、「街デイ」に来ること自体が介護予防となっているケースは多く、安定した運営の継続が求められる。今後、介護予防など専門的な事業が「街デイ」に求められることを考えても、相応の人的、財政的処置を施し、運営を支援する必要があるだろう。 2)2年前に閉鎖された「街デイ」の元利用者5名にヒアリングしたところ、「街デイ」の閉鎖により、交流や遠出などの「楽しみ」がなくなっている実態が把握できた。身体状況が悪化している人は特に日々の楽しみがないことが苦痛であり、日常生活プラスαの部分が享受できなくなったことは、生活の質という点では大きなマイナスと考えられる。喜びや楽しみがあってこその在宅生活であるという認識のもと、生活支援を考える必要があろう。 3)K市は、高齢者の生活継続を目的にこれまでの大規模施設整備をやめ、地域密着型の街中のケア施設整備を進めている。市が用地選定から運営内容に関し主導的役割を担い、施設には地域との交流を積極的に図ることを求めている。整備が順調に進んだ理由として、(1)市と事業所が理念を共有したこと、(2)運営基盤が磐石な福祉法人をバックに持つ事業所が多く小規模でも経営の心配がないこと、(3)地域住民に対する説明をきちんと行っていること、などがあげられる。
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