本研究の目的は育児期にある親のITを媒体としたインフォーマルサポートネットワークが育児満足度や世代間関係にどのような影響を与えているかについて日米で比較調査をすることである。平成19年度はITと家族についての日米の文献を読み、調査票に含む変数を作成する目的で親のIT環境とその使用状況についてのヒアリング調査を実施した。日本におけるヒアリング調査ではフォーカスグループ面接の手法で横浜の「児童ひろば」に集まる1〜3歳児を持つ母親10名にITや携帯メールの使用目的や内容などについて語ってもらった。アメリカでは1〜3歳児を持つ母親10名へ個人面接を行った。このヒアリング調査の結果、日本の母親たちの多くが携帯メールを利用して様々な育児に関する情報を得ていること、またITを媒体としたサポートネットワークを持っていることがわかった。またアメリカではIT上の育児コミュニティに参加している母親が多いこと、育児に関する情報やヘルプをそれらのコミュニティの仲間から得ていることがわかった。これらの結果をもとに、平成20年度は日本とアメリカにおいてIT情報形態を使った育児サポートが育児期の親の育児満足度にどのような影響を与えているかについて1〜5歳児を持つ約400名の親に対して調査票調査を実施する予定である。これらの研究を通して、家庭内IT環境、育児環境、家族関係等の詳細な情報を得ることにより、IT使用と育児不安や育児ストレスとの相関関係を明らかにし、情報社会における育児支援のあり方に関する指針を作成することは重要であると考える。
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