本研究は、我々が持続可能な社会を確立していくために、アメリカ・カナダで300年来のライフスタイルを守り続け、安定的に成長しているアーミッシュシステムをモデルとして取り上げ、彼らのシステムと現代社会のシステムを比較検討し、特に情報、廃棄、経済社会システムを分析することによって、持続可能な社会のために生活側面でどのようなリスクマネージメントが必要であるかを明らかにすることを目的としている。本年度は、特に廃棄システムを取り上げて研究を行った。アーミッシュ家庭では、家庭残滓はほとんどごみとして排出されない。残滓はラバ等の動物のえさとして活用するか、自然のコンポストを利用している。また、外食をする習慣はほとんどないため、外食による残滓も生じない。さらに学校給食はなく、弁当を持参するため、学校給食からの残滓もない。本研究では、日本の家庭のマテリアルフローと廃棄システムに関する調査として、学校給食における残滓調査を実施した。岐阜市の全公立小学校と中学校73校の学校給食の残滓を1か月間調査した。この結果、生徒数と残量との間に比例関係がみられた。しかし、一人当たりの残量は、学校によって非常に大きく異なることが明らかとなった。その原因を児童・生徒の意識調査、学校の取り組み調査によって明らかにしたところ、学校の取り組みや意識が関係していることが明らかとなった。これらの結果は、学校の環境リスクマネージメントとして、環境教育に活用することができる。また、家庭、学校、自治体の廃棄システムのリスクマネージメントを考える上で、極めて重要な分析結果が明らにすることができた。
|