研究概要 |
平成21年度の研究実績は以下のようになっている。 1. 低所得者層のシティズンシップの現状について調査した。 これまで継続して行ってきた沖縄クレジット・サラ金被害をなくす会に相談に訪れた多重債務者を対象とした調査結果をまとめた。その結果,平成21年度の相談者は,472人,男性247人,女性217人,不明8人となっている。相談者が減っている背景のひとつには,全国規模のテレビコマーシャルを利用した弁護士,司法書士の多重債務相談業務の広がりがあると考えられる。しかし消費者生活センターには,そこでの苦情がでてきており,低所得者層の生活再建といった視点からの多重債務相談とはどのようなものであるかが,今後,問題になると考えられる。 2. 消費者シティズンシップ教育について整理した。 国民生活センターからの招待論文として,国民生活研究に「消費者シティズンシップ教育試案-よりよい社会のための責任ある経済投票権の行使-」を書いた。ここでは,これまでの消費者教育を消費者シティズンシップ教育に変えていく社会的背景,消費生活の現状,シティズンシップ教育を導入することで,消費者教育がどう変わっていくかについて言及した。 3. 家庭科教育における消費者シティズンシップ教育の導入について国際会議で発表し論文を書いた。 ベルリン工科大学で開催されたConsumer Citizenship Networkの国際会議で,An Exploratory Framework for Consumer Citizenship Education in Japan's Home Economics Educationを口頭発表し,論文も掲載された。日本の家庭科教育で行われているホームプロジェクトに加えて,Consumer Citizenship Project を提案している。
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