研究概要 |
ダウン症候群児をはじめとする障害児の統合保育の実態を調査し、その課題を分析した。2007年9月から11月にかけて主に関東を中心に幼稚園、保育所に、統合保育に関する郵送アンケートを実施した。発送した2157のうち有効回答数は987〔回収率45.8%〕であった。内訳としては幼稚園が393(39.8%)、保育所が594(60.2%)であり、保育所が多かった。設立主体別では幼稚園は私立が319(81.6%)に対して、保育所は公立が447(76.0%)で、有意な違いがあった(p<0.001)。データ解析の結果、統合保育を行っている(障害児がいる)園は720、73.1%にのぼり、そのうち幼稚園は245(62.5%)、保育所は475(80.1%)で、保育所の方が有意に多かった(p<0.001)。全園児数126,754人中、障害児は2,416人(1.9%)であり、年齢が上がるにつれて障害児の割合が漸増し、5歳では2.4%と最も高かった。預かっている障害児数は平均2.27人、障害の疑いを含めると3.92人となった。最大で61人(障害児39、疑い22)預かっている幼稚園と、22人預かっている保育所があった。障害児の疾患は多彩であった。先天異常237のうちダウン症候群153、遺伝病・奇形症候群66、染色体異常7であった。脳障害385(知的障害278)、発達障害863(自閉症251)、身体障害138(肢体不自由54)、特記されたその他の病名26、病名不明272、疾患の疑い494であった。国や自治体からの補助を受けている園は332(60.1%)で幼稚園と保育所で差がなかったが、加配の保育担当者がいる園は575園(81.0%)で保育所の方が多かった(p<0.001)。統合保育に積極的な園と消極的な園があり、その詳細を分析中である。疾患別対応は他の園や障害児をかかえる若い両親にとって有益な情報となる。
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