初年度に行った統合保育の実態調査を分析し、「幼稚園・保育所の統合保育の現状と課題」として論文にした(in press)。先天異常をはじめ、かつては統合保育として受け入れられていなかった多彩な疾患を持つ障害児が幼稚園・保育所で保育されていた。障害児への対応としては、特別扱いせず自然な対応をしている園が多い一方、個別の配慮をしている園も多く、特記された対応は保護者、保育者や支援者の参考となる。また統合保育に対する園側の意見、工夫や配慮、要望が明らかとなり、統合保育の問題点を抽出した。 次いで、2歳からの通所療育施設(ダウン症候群が主体の逆統合保育実施施設)卒園児とダウン症相談外来受診患者の保護者に対し、郵送による質問紙アンケート調査を行った。その内容は保育・療育・教育状況、学校卒業後の進路・就業状況、健康問題などである。回収率は64.7%、249人(男141人、女108人)の回答を得た。そのうちダウン症候群が236人(94.8%)である。対象者を就学年齢で分けると、高校卒業以上が125人(50.2%)であった。普通級進学者、特別支援学級(心身障害学級)、特別支援学校(養護学校)進学者の状況、学校卒業後に働いている企業や施設の状況、社会活動を行っている成人の実態、医療機関受診行動(診療科、かかりつけ医の有無、小児科から内科への移行など)をまとめている。その結果は保護者、支援者に有益な情報になると期待される。
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