研究概要 |
本研究では,液状食品の品質管理における重要な項目である非ニュートン粘性を評価するための,構造が簡単で,取扱いが容易な簡易型測定器の開発とそれによる合理的,汎用的な評価システムの構築を目的とした.供試する液(試料)を流動させたときに生じる応力を評価する粘性測定器の概念として,流動の推進力に重力の作用を可変的に用いることを念頭におき,測定器における流動場を溝型の流路に設定した.まず溝型流路における,流動の進行とともに変化する非定常な液流れを理論的に解析し,流れの速度の分布に基づき,液に生じる代表的な勇断速度を定義した.次にアクリル樹脂製溝型流路測定器を試作し,実験的な検討を行った.ニュートン性および非ニュートン性の模擬液,グアーガムを主成分とする多糖類製剤で増粘した液状食品を試料として,それらが測定器内を流れる模様を2方向からビデオカメラで連続的に撮影した.分割した時系列画像の解析から,液の流れを特徴付ける表面高さと流動距離を時間の関数として決定し,併せて測定器内の代表位置における速度を算出した.これらの長さと速度を用いて定義した摩擦係数すなわち,無次元で表した応力とレイノルズ数は反比例関係にあり,測定器内の流れは,主に粘性が支配的な層流様式であることが示された.また,そのときに形成する勇断速度は約0.1-10 s^-1の範囲にあり,本測定器はそのような勇断速度範囲での粘性測定に利用できることが確かめられた.
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