柿ポリフェノールオリゴマーについて、疾患モデルを用い加齢に関連する機能解析を行なった。まず老化の危険因子の糖尿病について、2型糖尿病モデルを用いて検討し、オリゴマーの肝組織に対する作用から抗老化作用への可能性が示唆された。そこで最初に、細胞老化の指標のDNAとSirt1に及ぼす作用を検討し、オリゴマーによって改善作用を示した。次いで、SAMP8を用い、寿命と老年性認知症に対する作用、さらにオリゴマーの作用機序を明らかにするために、抗老化に関連する分子の解明にもとり組んだ。その結果、SAMP8にオリゴマーを連日経口投与した場合、寿命の延長効果が認められた。現在、寿命延長因子として知られているSirt1の活性化剤のresveratrolとオリゴマーは、いずれもSAMP8の脳組織におけるSirt1を増加させ、寿命延長にSirtlが関与している可能性が示唆された。一方、18週齢と38週齢のSAMP8にオリゴマーを経口投与した場合、認知障害が改善され、海馬でのaxon、dendrite、synapse密度が増加し、neurogenesisの可能性が示された。また、hypothalamusやchoroid plexusでVEGFR-2のリン酸化を認め、VEGFR-2のリガンドとアンタゴニストを用いた実験から、オリゴマーによる記憶障害改善作用は、VEGFR-2を介していることが示唆された。
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