本年度は、昨年度に引き続き、3種類の異なるゲル化剤、すなわち寒天A(通常の寒天)、寒天B(分子量を低下させた寒天、攪拌など変形させることで流動性が生じる)、ゼラチン(アルカリ処理)により調製されたヨーグルトゲルを健常な高齢者により、食べやすさを評価してもらった。若年者で寒天Bヨーグルトゲルが口中で有意にべたつくと評価されたが、高齢者ではゼラチンヨーグルトゲルが有意にべたつくと評価された。また、若年者、高齢者ともに、寒天Aヨーグルトゲルが有意に食べやすいと評価された。そこで、寒天Aを用い、硬さ1×10_3N/m_2および5×10_3N/m_2に揃えたヨーグルトゲルの食べやすさ、嚥下時筋活動におよぼす風味(甘さ)の影響を検討した。テクスチャー特性の測定結果、硬さ5×10_3N/m_2の試料において、砂糖添加したヨーグルトゲル試料の付着エネルギーが砂糖無添加試料よりも有意に小さいことが示された。破断測定の結果、みかけの破断応力、破断ひずみは、いずれの硬さの試料においても砂糖添加の影響は認められなかった。動的粘弾性の測定結果、線形領域における動的粘弾性への砂糖添加の影響は認められなかったが、硬さ5×10_3N/m_2試料のひずみ量400%における砂糖添加試料の貯蔵弾性率G'は砂糖無添加試料よりも、有意に大きいことが認められた。食べやすさの官能評価を若年者により行ったところ、いずれの硬さの試料においても、砂糖添加試料の方が砂糖無添加試料よりも有意に風味が良いと評価されたが、口中におけるまとまりやすさ、食塊の口腔から咽頭への移動しやすさにおいて有意差は認められなかった。嚥下時筋活動の測定結果、砂糖添加の有無による影響よりも、硬さの影響の方が大であることが示された。
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