研究概要 |
1,咀嚼機能および嚥下機能の低下した食事に関する研究 1989年より17年間で108万食の嚥下食の提供し、臨床的な実績のある聖隷三方原病院(静岡県)の嚥下食の物性を解析した。この病院では、嚥下障害の程度に応じて5段階に分けた食事を提供している。この物性値を解析した結果を、2007年に報告した(日本病態栄養学会誌10(3)269-279 2007)。本年度は、この物性範囲を基にし、2009年4月から実施される厚生労働省・特別用途食品・えん下困難者用食品の許可基準を作成した。 2,上記の基準表を基に、嚥下障害者に対する直接的な検査方法として、各段階に適したVF用の検査食の作成を検討した。VF検査とは、食品にバリウムを混合し、患者に食べてもらい、その動態を映写し、どのような食べ物が食べることができるのかを判断する。しかし、食べ物にバリウムを混合すると、その物性が変化することが知られている。また、食べ物の物性は温度により変化する。そのため検査で食べることのできた物が、実際には、食べることができない事例も多い。そこで、段階的な嚥下食の各段階の物性に適合し、なおかつ、室温で物性変化しにくい検査食の作成について検討した。5段階の各段階のかたさの上限値と下限値の相当する検査食レシピを作成し報告した(日本摂食嚥下リハ学会誌12(1)31-39 2008、栄養-評価と治療-25(6)519-523 2008)
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