研究概要 |
高齢者の増加と共に咀嚼機能や嚥下機能の低下した者が増加している。なかでも、脳卒中、特に仮性球麻痺の後遺症としての嚥下障害への食事の対応は、重要な課題である。本研究室では、このような方に対して提供する食事を検討する目的で、急性期病院である聖隷三方原病院と共同研究し、その物性的な数値を報告した。この報告は、2009年4月から施行された厚生労働省特別用途食品えん下困難者用食品の許可基準のたたき台として用いられた。 急性期病院の食事の対応方法については進み出しているが、急性期病院から患者さんを受け入れるリハビリテーション病院での食事の対応方法について、物性面からの検討は少ない。そこで、広島のリハビリテーション病院をモデル病院として解析した。当該病院では、咀嚼機能や嚥下機能の低下した人に対する食事を4段階計78品目有していた。当該病院にて最も重度な方に提供するペースト状の食品群は21品目あり、かたさ3,000N/m^2以下、凝集性0.6~0.9、付着性400J/m^3以下に分布していた。次の段階としてペースト状食品にきざんだ食材を混ぜたものが多い食品群は19品目あり、かたさ10,000N/m^2以下、凝集性0.4~0.9、付着性500J/m^3以下に分布していた。この次の段階で提供するきざんだ食材に館をかけたものが多い食品群は21品目あり、かたさ30,000N/m^2以下、凝集性0.3~0.9、付着性500J/m^3以下に分布していた。この次の段階で提供するきざんだ食材の多い食品群は17品目あり、かたさ30,000N/m^2以下、凝集性0.2~0.9、付着性500J/m^3以下に分布していた。 急性期病院およびリハビリ病院の食事の物性結果などを参考に、広島県病院栄養士協議会から、2010年3月に嚥下障害の患者さんの栄養管理に関する提案が行われた。
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