咀嚼時の筋活動を解析して、特にその活動パタンから被検食品の識別が可能か否かを検討することを申請課題の目的とした。これまでも、咀嚼時筋活動の解析をおこなった研究は多くあったが、その大部分が咀嚼筋の活動期間や活動量に注目した報告であった。その一因として、筋活動パタンの定量化が困難であるためと推察される。報告者らは、1回の咀嚼(ならびに嚥下)時に咬筋(ならびに舌骨上筋群)が示す活動期間と活動量とも標準化して、そこから導かれるT_P値を比較する「T_P手法」を開発した。この手法は筋の活動パタンを定量化できるものの、その計算量が膨大になるため、初年度ではその自動化を目指して解析ソフトの作製をおこなった。研究期間の2、3年目では、作製された解析ソフトを用いて被検食品数の比較的少ない段階から増やしていき、咬筋活動パタンが異なるテクスチャ特性をもつ被検食品の識別に資するかを調べた。
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