研究課題
食品にはヒトや動物に健康被害を起こす有害物質が多種含まれていて、食の安全性の確保の観点から大きな社会問題となっている。その中でもカビ毒、自然毒は気象変動に影響をうけたり、植物内で生合成される物質が多いため、その防除は非常に困難であるといわれている。カビ毒は、かびの2次代謝産物であるが、天然物化合物中で最強の発がん性物質であるアフラトキシンをはじめ、慢性毒性として発がん性を有する物質が多く存在する。しかしこのような発がん性物質の汚染量をゼロにすることは不可能であるため、調理や加工により減毒化(デトックス化)を行いヒトへの摂取量をできるだけ少なくする努力が最も必要である。本研究は、食品中に存在する有害物質の摂取量を抑えるために有効な加工・調理法を開発することにある。今年度は、小麦に汚染が多いニバレノールに焦点を当て、その毒性を減衰させる食物成分を探索した。すなわち、これらの減衰作用のある食品成分を加工工程に加えることにより、最終製品におけるデトックスが期待されるからである。現在パンの製造工程に使われているハーブ類13種類および果物エキスを用いて、ニバレノール分解能を検討した。ニバレノールを」それぞれの試料粉砕濾過溶液に添加し、経時的に溶液中のニバレノール残存量を測定することで求めた。その結果、ハーブ類ではオオバが、果物類ではモモが、ニバレノール分解作用を有することが示唆された。この効果は、熱処理で消滅することから、高分子が担っていることが示唆された。今後、デトックス作用のある成分をスクリーニングしていく予定である。
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Surface and Coating Technology 201
ページ: 5733-5737
Biosci, Biotechnol, and Biochem, 71
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