研究課題
食品中の汚染物質、特にカビ毒に着目し、調理や加工により減毒化(デトックス化)を行いヒトへの摂取量をできるだけ少なくする方法を開発することによって、より積極的なデトックス法の開発を目的とした。昨年までの成果で、ペクチンなどのゲル化により、カビ毒をゲル中に封じ込めできる可能性について明らかにし、加工工程によるデトックス法を提言した。今年度は、これらのデトックス法が、生体内で減衰に効果的に働いているかを、実験動物を用いた研究で解明した。この成果は、本テーマである新しい安全性評価法の構築につながる。小麦の汚染で問題となっているデオキシニバレノール(DON)をマウスにあたえ、血液、尿、糞などへのDONの濃度を測定し、吸収率および排出率を検討した。投与したDONは、ペクチン封入DON, DON水溶液、ペクチンのみの3種類であった。ペクチン封入DON投与群の血液中のDON濃度は、DON水溶液投与群に比べ約1/4に留まっていた。尿および糞への排出量は両群に有意差は認められなかった。ペクチンのみの投与群においてはDONは検出されなかった。以上の結果より、in vitroで示されたペクチンのDONに対する封入効果はin vivo実験においても証明された。また、ペクチンは長い食生活の経験から、安全な食品であること、最近コレステロール吸収阻害などの付加価値が注目されていることから、食品添加物としても有用であることが示されている。これに加えて、食品中の有害物質を封じ込め、その吸収を阻害する作用を持つことは今後の応用が期待できる。
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J.Health Science 56(2)
ページ: 1-7
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