本研究ではまず、咀嚼・嚥下機能の低下した高齢者に用いられている「経管栄養剤」の使用実態を明らかにした。また、経腸栄養剤に使用にあたっては、高齢者の身体状況、疾病などから投与栄養量を算出し、栄養剤を選択しているが、胃ろう造設高齢者では、経腸栄養剤投与によって体重が増加しやすいことも明らかになった。 1.経腸栄養剤使用実態調査 経管栄養剤は、回答した病院・老人福祉施設の98%で使用されていた。使用数は1施設当り平均5.4±1.4種類で、病院は6.5±2.1種類、福祉施設は3.4±1.1種類であった。またその使用目的疾患は褥瘡が最も多く、糖尿病、腎臓病、高脂血症の順であった。しかし、同施設内で同一疾患であっても、同程度栄養価の異なる栄養剤を使用している施設が多くあり、経管栄養剤の使用について効率性が悪く、整合性がとれていないことも明らかになった。 2.胃ろう造設高齢者の体重管理および栄養管理 経腸栄養剤は半消化体で吸収されやすい状態であることから、ハリス・ベネディクト式で算出した栄養量を投与した場合、体重が増加しやすく、QOLの低下を招きやすいことが明らかになった。そこで、Stress Factorを1.0以下にして算出した栄養量を投与すると、体重維持が可能でQOLの低下を防止できることが明らかになった。 3.経腸栄養剤選択早見表の作成 経管栄養剤の疾患別、使用目的別の分類表を作成し、「早見表」を作成した。
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