リポ蛋白質受容体ファミリー遺伝子はコレステロール代謝のみならず、肥満、高脂質血症、糖尿病、骨粗鬆症に大きく関与している。即ち、超低密度リポ蛋白質受容体の機能異常は、肥満、高脂質血症に関与し、低密度リポ蛋白質受容体類似蛋白質5の機能異常は糖尿病、骨粗鬆症に関与する。これらの実験事実は、リポ蛋白質レセプターの機能異常が、複数の生活習慣病の発症を惹起し、メタボリック症候群を誘導することを強く示唆する。従って、メタボリック症候群を抑制する鍵は、リポ蛋白質レセプターの活性を制御することにあり、その活性を有する食品因子を同定できればメタボリック症候群を抑制できると期待できる。昨年度の実験により、複数の食品因子がリポ蛋白質レセプターの活性を制御することを明らかにした。本年度の研究では同定した食品因子による活性調節の詳細な作用機構の解明を細胞レベルで解析を行った。これらの解析を来年度まで継続し、最終的には疾患モデル動物を用いた食品因子による発現調節の分子機構を明らかにすることにより、リポ蛋白質受容体を介する食品因子によるメタボリック症候群の抑制能を決定する予定である。
|