研究課題
1日に何食品を摂取することが望ましいのかを明らかにするためには,食事記録調査を用いて正確な摂取食品数を算出し,食物・栄養素摂取状況や、栄養素摂取状況の客観的指標である生体指標との関連を検討する必要があると思われる。そこで平成20年度は、食事記録調査から正確な摂取食品数の算出を試み、食物・栄養素摂取状況との関連、血中ビタミン値との関連について詳細に検討を行った。摂取食品数の少ない群(1日20食品未満)では食事摂取基準の推定平均必要量(EAR)を摂取していない者の割合が高かった。男性において摂取食品数が多い群で血清β-カロテン値が高い傾向がみられた(P=0.0042)。厚生労働省研究班による「多目的コホートによるがん・循環器疾患の疫学研究」の断面データを用い、高齢者の食品摂取量の多様性と生活習慣、臨床検査値との関連も検討した。摂取食品数が多くなるほど喫煙率が低い、飲酒量が少ない、朝食の欠食率が少ない、習慣的な運動習慣がある、などの健康的な生活習慣との関連が明らかになった。また、摂取食品数が多くなるほど一人暮らしの割合が少ない、生活を楽しいと感じている人が多い、などの特徴が明らかになった。BMIが18.5未満のやせの割合は男女とも摂取食品数が多くなるほど減少した。特に摂取食品数の最も少ない群では、やせの割合が男性17.5%、女性21.4%と高値を示した。臨床検査値との関連では、女性において摂取食品数が多い群で食事の影響を受けやすい総コレステロール(TC)値、HDL-コレステロール値が高値を示した。本研究により、食事の多様性は生活習慣、栄養素摂取量、生体指標、臨床検査値と関連することが明らかになったことから、特に中高年齢者の健康維持、疾病予防に寄与することが示唆される。
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