研究概要 |
今年度は,まず青少年の食事評価のための食物摂取頻度調査票(FFQW82)の妥当性と再現性の検討を行い,FFQW82の確定版作成を目的とした. 妥当性の検討に関しては,女子中学生63名(12〜13歳)を対象に,1週間の秤量調査をgold standardとし,秤量調査期間を含む第2回の頻度調査結果から算定した推定摂取量との相関により検討した.その結果,1日当たり総エネルギー摂取量のピアソン積率相関係数は0.31であり、主要栄養素ではエネルギー調整ピアソン積率相関係数は、0.53(たんぱく質)、0.42(脂質)、0.28(炭水化物)であった。微量栄養素では、0.53(カリウム)から0.31(鉄)の範囲内にあった。各食事別エネルギー摂取量に関しては、朝食のエネルギー摂取量のピアソン積率相関係数は0.59であり、FFQW82と秤量調査から求めた実際の値との相違は小さかった(差は34kcal、差の割合10%)。昼食、夕食、一日量の相関は、それぞれ0.40(差は75kcal、15%)、0.32(差は65kcal、10%)であった。 再現性の検討は1ケ月の期間をおいた2回の頻度調査を行い,回答の得られた60名を対象にした検討の結果、1日当たり総エネルギー摂取量のピアソン積率相関係数は0.62であり、主要栄養素ではエネルギー調整ピアソン積率相関係数は、0.62(たんぱく質)、0.46(脂質)、0.69(炭水化物)であった。微量栄養素では、0.76(カルシウム)から0.63(鉄)の範囲内にあった。 Rokketら,1995)の類似の報告に比べても,決して遜色なく,むしろ信頼性が高く,青少年の食事評価に有用となるエネルギー及び栄養素摂取量、並びに食品グループ別朝食、昼食、夕食、1日の評価に利用可能と考える。 次に,食育における最重要課題抽出のためのアンケート票(75項目)を作成し,女子中学生とその保護者を対象に調査を行い,重回帰分析結果から女子中学生の食育における優先課題を分析し,"必要エネルギー摂取の啓蒙"が示唆された.そこで,クラスター割り付けに基づく無作為化試験を実施した.研究仮説は,FFQW82に基づく介入群では,エネルギー摂取量が150kcal増加する」である.
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