研究概要 |
ビタミンK(VK)は納豆や海藻などの食品に多く含まれ、疫学的な調査では納豆消費量が多い地域では骨折率が低いことが報告されている。また、臨床試験においてビタミンKの単独投与で骨量増加作用を有することが確認されており、VKの骨折予防効果が評価されている。VKの作用は補酵素としての役割と核内受容体の一つであるステロイドX受容体(SXR)を介した転写レベルの作用が報告されている。現在までにVKの骨折予防効果は骨作用を中心に解析が進んでおり、腸管からのカルシウム(Ca)吸収との検討はなされていない。 腸管でのCa吸収にはCaチャネル(TRPV6)、カルビンディンD9k(CaBP)、CaATPase1(PMCA1)の関与が報告されており、いずれの遺伝子もビタミンDにより制御されると考えられているが、VDR結合配列はSXR結合配列に含まれ、また、SXRは腸管で高発現していることより、ビタミンKが腸管のCa吸収に関連する遺伝子の転写促進する可能性が考えられる。本年度は、この可能性を培養細胞レベルで検証した。 ヒト結腸腺癌由来細胞株であるSW480細胞とCaco-2細胞を培養24時間後より培地中にVK2(メナキノン-4;MK-4)を添加して培養した。MK-4は10、20、40、80μmol/Lの濃度で添加し、添加後、24、48,72時間後のTPPV6mRNA量を定量的RT-PCR法により調べた。SW480、Caco-2細胞共に20μmol/LMK-4添加、48時間後に有意にTRPV6mRNA量が増加した。40μmol/LMK-4を添加すると24時間では変化がないが、48、72時間後に有意にTRPV6mRNA量が増加した。更に、SXRを強制発現させたSW480細胞にMK-4を添加すると、TRPV6mRNA量の増加が更に増強し、MK-4によるTRPV6mRNA変動には、SXRの関与が示唆された。
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