ビタミンK(VK)は納豆や海藻などの食品に多く含まれ、疫学的な調査では納豆消費量が多い地域では骨折率が低いことが報告されている。また、臨床試験においてビタミンKの単独投与で骨量増加作用を有することが確認されており、VKの骨折予防効果が評価されている。VKの作用は補酵素としての役割と核内受容体の一つであるステロイドX受容体(SXR)を介した転写レベルの作用が報告されている。現在までにVKの骨折予防効果は骨作用を中心に解析が進んでおり、腸管からのカルシウム(Ca)吸収との検討はなされていない。 腸管でのCa吸収にはCaチャネル(TRPV6)、カルビンディンD9k(CaBP)、CaATPase1(PMCA1)の関与が報告されており、いずれの遺伝子もビタミンDにより制御されると考えられているが、ビタミンD受容体結合配列はSXR結合配列に含まれ、また、SXRは腸管で高発現していることより、ビタミンKが腸管のCa吸収に関連する遺伝子の転写促進する可能性が考えられる。本年度は、この可能性を動物実験で検証した。 Sprague-Dawley系6週齢雄性ラットを実験に供し、0.2%Ca含AIN-93G食で10日飼育後、1群のエサからはVKを抜きさらに10日飼育した。ラットの腸管上部小腸(1/4)よりRNAを調製し、RT-PCR法によりCaチャネル(TRPV6)、カルビンディンD9kmRNA量の定量を行った。VK含コントロール群で両遺伝子のmRNA量が高かったが統計的有意ではなかった。また、SW480細胞を用いた、TRPV6遺伝子のVDREを用いたレポーターアッセイにより、VKがVDRE左介して、TRPV6転写促進をすることが示唆された。
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