研究概要 |
長野県東御市住民の特定健診受診者を対象とした。平成20年の血清亜鉛濃度測定は,平成18年(ベースライン)午前に採血し測定した対象者のうち,同意の得られた299人について行った。亜鉛栄養状態をより詳しく知るためのアンジオテンシン変換酵素活性比の測定は平成21年度に行う。 1日分の食事内容調査有効回答者のうち体格測定を含む健診データが得られた対象者数は,平成18年1274人,平成19年1399人,平成20年1089人であった。食事内容調査から分析した1食あたり摂取食品数は,8.5食品,8.5食品,9.8食品と変化していた。また,野菜の食品数の変化は,3.4食品,3.2食品,4.1食品であった。何れも平成20年に有意に増加していた。本研究は平成19年の調査直後に亜鉛不足にならないよう「1食あたりの目標食品数を8食品以上とし,肥満が気になる方は野菜で食品数を増やしましょう」という少人数の集団指導(5人程度の集団)を管理栄養士が全対象者に実施した。平成20年で食品数が増加したことは,この指導によるものと考えている。 一方で,1985年の食生活指針における「1日30品目を目標に」では,過食による弊害が報告された。本研究では,目標食品数を「1食あたり8食品以上」としていることや野菜で増やすよう指導したことなどの改良を行ったが,集団指導による肥満やメタボリックシンドローム(MS)への弊害が生じていないか検証した。その結果,BMIによる肥満の判定(日本肥満学会)で肥満者の割合を調べたが,3年間で増加も減少もなかった。また,MSの判定においても変化がなかった。さらに分析を行い,肥満を予防し亜鉛摂取量増加を促すための目標摂取食品数を見いだし,一般住民がセルフモニタリングできる方法の検討を行っている。以上の結果を平成21年度日本栄養改善学会学術総会で発表する。
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