研究概要 |
自然発症2型糖尿病モデルラット(7週齢Goto-Kakizaki雄ラット)を用いて,「コシヒカリ」と「春陽」由来の米胚乳タンパク質(CP20%)を10週間にわたって制限給餌した飼養試験(コントロールはカゼイン食)等を実施した.血液,腎臓,尿サンプル等を採取して,血漿インスリン濃度をはじめ,糖代謝調節にかかわるマーカーを測定し比較検討した. 1.1週間毎に空腹時血糖値を測定した結果,1〜3週目では特に「春陽」由来タンパク質群の血糖値は有意に低値を示した(p<0.05).10週間にわたって両米タンパク質群の血糖値は常にカゼイン食に比べて低い傾向を示した. 2.試験終了日の空腹時インスリン値は,両米タンパク質群でカゼイン食に比較して低下傾向がみられた.しかし,試験9週目に行った糖負荷試験(20%glucose溶液,2g/kg経口投与)では,健常ラットとは明確な差がみられたけれども3群間では有意差はみられなかった. 3.血中アデイポネクチンレベルは内臓脂肪の増加に伴い減少し,インスリン抵抗性,2型糖尿病の発症,メタボリックシンドローム,脂質代謝異常などと逆相関することが知られている.血中アデイポネクチン濃度は,両米タンパク質群がカゼイン群に比べて有意に高値であり(p<0.05),米タンパク質摂取は血中アデイポネクチンレベルの上昇に関与することが明らかになった. 以上の結果と,その他の尿中微量アルブミン濃度等の測定結果から,米タンパク質摂取はカゼインに比べてインスリン応答や糖代謝調節維持に有効である可能性が強く示唆された.
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