大豆タンパク質(SPI)およびジアシルグリセロール(DAG)は共に体脂肪の蓄積抑制作用が知られている機能性成分である。今回我々は、これらの食品成分を単独あるいは併用摂取した際に予測される体脂肪の変化が成長期雄マウスの骨密度に及ぼす影響を検討した。実験は、7週齢雄のC57BL/6マウスに重量比20%のSPIあるいはエネルギー比30%のDAGを組み合わせた食餌を40日間摂取させた。対照群はカゼイン、コーン油を配合した食餌を与えた。一夜絶食後、二重エネルギーX線吸収法(DEXA)により体脂肪率、骨密度、体脂肪量、除脂肪量を計測した。得られたデータは二元配置分散分析により因子解析を行い、交互作用が確認された測定項目について有意差の検定を行った。また、体脂肪率と骨密度、体重と骨密度の相関性も調べた。その結果、体重は食事因子による影響を認めなかったが、体脂肪率はSPI摂取群において低下傾向を示した。体脂肪量および骨密度はSPI摂取群において有意な低下(P<0.05)を示した。体脂肪率と骨密度の相関は、弱い正の相関(r=0.30)を認めたが、体重と骨密度に相関を認めなかった(r=0.03)。今回の結果から、機能性成分の併用摂取による成長因子あるいは肝機能、腎機能指標などへの影響は認められなかったが、成長期マウスにおいて体脂肪の低下に伴う骨密度低下の可能性が示唆された。体脂肪の低減は、肥満改善による生活習慣病予防に重要な要素であるが、成長期における極度の体脂肪低減は、骨代謝や骨の成長に影響を及ぼすことが懸念されるため、骨代謝、骨密度、骨の成長などに及ぼす食事因子の影響について今後も注意深く観察を行う必要があるかもしれない。
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