研究概要 |
本研究は、高等教育機関における職業倫理教育のあり方を教育プログラムとコンテンツの両面から調査・研究し、新たな職業倫理教育のあり方を具体的に提言することを目指している。 本年度は、第一に、「労働・仕事・活動」という概念をハンナ・アレント『人間の条件』等を参照しつつ整理し、それらの概念の歴史的展開と職業倫理教育が要請される背景との関連を明らかにし、北海道大学の大学院共通授業科目「応用倫理(企業倫理・組織倫理)」のコンテンツの一部を作成した。 第二に、主にインターネットを媒介として、企業の倫理綱領等に関する制定状況とその内容について調査し、さらに、企業コンサルタント会社に対して直接ヒアリングを行い、企業研修の実態と内容について、予備的な調査を行った。,その結果、多くの企業においては、倫理学理論を背景とした倫理研修が不十分であり、本教育プログラムが目指す方向が必要であるという確信を得た。 第三に、海外における職業倫理教育のあり方を参照するために、研究協力者をオーストラリア応用倫理・公共哲学研究所に派遣し、警察倫理研究の世界的第一人者であるS.ミラー教授に対するインタビューや各種調査を行い、また米国の実践・専門職倫理学会に派遣し、米国内でのいくつかの応用倫理センター等における研究と教育実践の調査を行った。来年度は、こうした海外とのネットワークを利用した調査研究を継続しつつ、しつつ、大学院における職業倫理教育プログラムを構築する。
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