研究概要 |
本研究は,社会生活との関わりが大きい技術・家庭科において中学校における科学技術倫理教育の実践型カリキュラムを開発することを目的としている。具体的には,昨年度において本教科の指導目標との整合性や生徒の発達段階に合った適切な教育内容と教育方法を検討し,導入段階での教材並びに学習過程を開発した。本年度はさらにそのことを発展させ,技術・家庭科における中学校3年間の科学技術倫理教育カリキュラムを開発した。以下,その概要を紹介する。 中学校技術・家庭科の学習指導要領及びその解説書における技術倫理に関する記述を抽出し,次にそれらがどの技術倫理に関連するかを分類し,さらにその内容の取り扱いについて検討した。さらに,検討結果を基にして,中学校3年間の科学技術倫理教育におけるモデルカリキュラムを構築した。 次に,このモデルカリキュラムにおける技術・家庭科技術分野の「情報に関する技術」の内容において,科学技術倫理の1つである情報倫理を育成する学習指導法について検討した。具体的には,開発者の視点で情報に関する技術を検討することが重要であると考え,製品開発者の活動を模倣した学習(Developer-Like Activity Learning)を取り入れた学習指導法を提案した。この学習指導法は,HDT(Human Design Technology)に基づく製品開発プロセスを問題解決的学習過程に適用したもので,このことにより生徒は主体的に情報倫理を身につけることができると考える。今後さらに,この学習指導法を用いた具体的な教材並びに学習過程を提案していく。
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