研究概要 |
本研究では,理科授業における教師と子どもの発話内容と子どものワークシートへの記述内容を,自己組織化マップで表現するソフトの開発とそれを用いた分析法を明らかにすることを目的としている。平成19年度は,おもに分析ソフトの開発とその検証を中心に行った。小学校の理科授業4っ,中学校の理科授業2つの計6つを収録し、発話を書き起こしテキスト化した。また,このうち3っの授業については,ワークシートを用いたため,子どものワークシートへの記述内容をテキスト化した。テキスト化したデータについて,フリーウェアソフトの「茶笙」を用いて,単語の基本形と品詞を抽出しデータとした。このデータをもとに,Excelのマクロを用いて次の処理を自動化し,発話やワークシートの記述内容を自己組織化マップに表現するソフトの開発を行った。 ・チェックを入れることにより分析から除外する品詞を設定する。 ・出現した単語をカウントしたデータを作成する。 ・作成したデータから,自己組織化マップの理論を用いて,単語間の関連を距離によって2次元のマトリクスに配置するとともに,セルの色で単語の出現頻度を示す。 開発したソフトで分析を行うとともにソフトの改善について検討を行った。分析では,たとえば中学校第1学年「圧力」の授業における教師の発話の分析では,「カ」と「面積」の関連が十分でないが,生徒のワークシートの分析からは,「力」と「面積」が関連付けられていた。これは,教師指示による実験で方向づけられたもので,教師の授業中の説明は十分でないことが考えられた。他の授業においても,その授業のキーワードとなる単語の関連が明らかにできた。次年度の課題としては,発話のため単語分析の辞書を修正する必要があること,発話量によっては分析に数時間かかるため,分析時間の短縮化を行うようソフトの改善を行うことである。
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