研究概要 |
日仏比較研究に不可欠な、サイエンスの教育とテクノロジーの教育、生活科教育、エンジニア科学教育、それらに関わる科学的概念についての基礎概念やTechnical Termごとの内容や特徴の傾向を明らかにし、それらを比較可能にするグローバルな研究方法論的基礎についての検討を行った。そのために、アメリカ(PISA, Pre-engineering教育等)の研究者と意見交換や資料収集も行った。 科学技術教育の科学的概念の構造化という本研究の目的では、現代の日本の科学技術教育の論点の一つとしての教育内容の「科学性」、すなわち教育内容の科学的根拠や科学的系統性が問われなければならないとともに、それが子どもの発達に基づく生活概念の再構成に結びつく科学的認識の形成と、どのように関連づけられるかが問題とされなければならない。 本年度は研究の結果、フランスの科学技術教育に関わる科学的概念についての基礎概念では、初等教育において、生活科教育は総合教科の「世界の発見」科教育として、サイエンスの教育とテクノロジーの教育は統合教科の「科学・技術」科教育として新設され、コレージュでは、テクノロジーの教育がサイエンス教育から分化した「テクノロジー」科教育として新設されたこと、そして、リセの普通教育課程では、エンジニア科学教育が大学工学部入学者のための科学技術教育の基礎教育としての「エンジニア科学」科教育として新設されたことが明らかになった。さらには、アメリカのPre-engineering教育との比較では、フランスの科学技術教育に関わる科学的概念についての基礎概念と類似性があることも判明し、今後の詳細な分析課題になった。
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