研究概要 |
1、平成19年度の研究方法論に基づき、フランスの「世界の発見」科と初等教育に新設された「科学・技術Sciences et Tech-nologie」科教育、コレージュで新設された「技術Technologie」科教育、リセの普通教育課程に新設された大学工学部入学者のための「エンジニア科学Scienses de l' ingenieur」科教育のそれぞれの科学的概念の特質及びそれらの系統的な関連性を、分析した。そのため、アメリカ・フィンランド(PISA, Pre-engineering教育,LUMA等)の研究者と、比較のための意見交換や資料収集を行った。 2、一般的には科学教育はアナリシス(Analysis:分析)、技術教育はシンセシス(Synthesis:総合)が主体になるといわれているが、それは、フランスでは科学リテラシーとテクノロジー・リテラシーを関連させる方法論として、教育課程開発で採用されていた。また、アメリカはプラグマテイズムの認識論が特徴であることがフランスとの比較より判明した。そこで、その方法論の分析より、日本の小・中・高の科学技術教育における科学的概念の構造化に有効な示唆を得た。フランスの各教科では、教育課程を貫く「科学」に基礎を置いた科学教育という基本理念のもと、フランス独自の科学認識論による科学的概念によってカリキュラム開発が行われていることが判明したので、それを学力論から比較分析することによって、日本の科学技術教育における生活概念と科学的概念との関連の研究に示唆が与えられた。
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